Chianti Classico Gran Selezione キアンティ・クラシコ・グラン・セレツィオーネ

イタリアワイン
キアンティクラッシコグランセレツィオーネ

グラン・セレツィオーネって?

グラン・セレツィオーネってなんでしょうか?

2013年に新しく制定されたキアンティ・クラシコの格付け。
自社畑の葡萄100%
30ヶ月以上の熟成期間。(その内、瓶熟3ヶ月)
アルコール13%以上で厳しい感応試験(=テイスティングによる)を合格。
それによりキアンティ地区の個性を最大限に表現した、最高品質。

という事です。

今回は、マッツェイ家のカステロ・フォンテルートリのキアンティ・クラシコ・グラン・セレツィオーネの6本入り木箱、パーセル・コレクションと云う珍しいものを入手しました。

折角なので、解説やら考察をして行こうと思っています。

一口に『キアンティ』って言っても色々あるんです。

このグラン・セレツィオーネができる前は、大きく分けてキアンティ・クラシコとキアンティ・クラシコ・リゼルヴァの2つがありました。
こちらの違いは、熟成期間にあって規定では最低11ヶ月で発売できる通常のキアンティに比べて、24ヶ月間お樽熟成に加え、瓶詰め後に3ヶ月待たなければいけないリゼルヴァ。

長期間樽の中で熟成すると云うことは、それだけ元の酒質がしっかりとした頑丈なワインでないと耐えられないんですね。
24ヶ月もの熟成に耐えるリゼルヴァってそれだけいい葡萄で造った、最高の品質だといえます。

これだけキャラクターがハッキリしていると、僕らソムリエはお客様に説明しやすい。
極端に言えば、『渋み少なく軽い』キアンティと『しっかりと重厚感のある』キアンティのリゼルヴァ。
どちらが良いですか?って聞きやすいしお客さんもイメージしやすい。

ここに加わった、グラン・セレツィオーネなんですが、上に書いた熟成期間だけ見るとリゼルヴァより長いので、『じゃぁ、こっちの方が重たいしっかりしたワインなのか?』って言うと実はそうゆうわけでは無いところが、ソムリエ泣かせ。

近年は醸造技術の発展が目覚ましく、ワイン用の酵母を管理する微生物學も昔に比べ理解が深まったことにより、ワインの品質はかなり良くなりました。

グラン・セレツィオーネはまさに現代的なこれらの技術に裏付けされたカテゴリーだと思います。

簡単に特徴を表すと、
色は、明るいルビー色に黒が混じる。
開けたての香りは、様々なベリー系のフルーツに華やかな花の香りを足したもの。
時間をかけて注意深く香ると、一変して森の中にいるような複雑な物に変化して行く。
味わいは、適度な渋みが心地よく、ベリーや花のようなフレーヴァーに包まれる。
非常に豊かな充実感のあるバランスと長い余韻が、良いワインだと確信させる。

実はこう言うワインののことをソムリエさんは『重いワイン』と表現します。
色も濃くて、香りもアルコールも強く、粘性のあるトロッとした濃いワインだけが重いワインじゃ無いんですよね。
ソムリエさんはフレーヴァーの質や余韻の長さを見ているんですね。

こうやってグラン・セレツィオーネの良さがハッキリ理解できるとお客さまにオススメする機会も増えるでしょう。

高貴な家系、マッツェイ家のキアンティ・クラッシコ

さて、本題のマッツェイ家のカステロ・フォンテルートリのパーセル・コレクション。
トップ画像の6本の内、一番左のワインが製品として完成された2016年のG・S
他の5本はこれに使われた、畑や地区から収穫された葡萄を混ぜずに醸造した物です。

キアンティクラッシコグランセレツィオーネ

マッツェイ家は1435年からカステッロ・フォンテルートリを所有している、キアンティ地区の有力な貴族の家系です。
流石にお金持ちのワイナリーは規模もやることも大胆です。

グラヴィティー・フロー(重力を利用して葡萄にストレスなく運搬)を利用した近代的な醸造施設。
なんと76個のステンレスタンクを使って、120の地区から収穫された葡萄を別々に醸造できるんですって!

ですから、このパーセル・コレクションのように地区ごとのワインが存在できるんですね。
小さなワイナリーでは考えられません。

通常、キアンティは混醸と言って地区ごとの葡萄も、品種も関係なく一緒のタンクに入れて醸造するんです。もちろん、品質や収穫時期が違うものは別醸造になりますが、基本、全部混ぜちゃいます。

マッツェイ家のメソッドでは醸造から熟成まで地区ごとのワインのまま貯蔵して、最終的にブレンドして完成品に仕上げます。
シャンパーニュの作り方にちょっと近い。
もちろん、ヴィンテージは混ぜないですが。

さて、まだこのワイン達を開ける予定はないので、畑や地区ごとの差がどの程度なのかは解りません。

只、中心のフォンテルートリ地区から見て四方に畑が散らばっていることと、多少標高差もあるでしょうから、違いがはっきりしていそうなのは予想が出来、中々興味深いサンプルですね。

ブレンド後の完成品=市販品を飲む限りでは、2016年と云う最高のヴィンテージを表現したまさにトップレベルのキアンティでは無いでしょうか?

今後、こちらのワインを開ける機会があれば、レヴューしますので、しばしお待ちください。

キアンティクラッシコグランセレツィオーネ

2022年4月の追記、最新情報!

CHIANTI CLASSICO GRAN SELEZIONE RICASOLI

素晴らしい最新情報が届きましたよ!

マッツエィ家と同様に貴族の家系である、バローネ・リカソリ男爵家の最高傑作と言える
CHIANTI CLASSICO GRAN SELEZIONE “CENIPRIMO” 2018年ヴィンテージに、
著名なワイン評論家が100点満点のスコアをつけました!
長い長い、キアンティ・クラッシコの歴史に於いて初めての100点なんです。
勿論、キアンティ・エリアでは今までにも100点の評価をされたワインは存在しますが、『キアンティ・クラッシコ』としては初めてなんですね。

このビッグ・ニュースに当主のフランチェスコ・リカソリは、
『私自身も非常に喜んでいますが、このキアンティ・クラッシコという原産地呼称にとっても大きな快挙だと感じます。』
『私達は、眼に見えない壁を1つ突破したのです。』
とのコメントを残しています。

キアンティ・クラッシコ協会長、ジョバンニ・マネッティ氏によると、『グラン・セレツィオーネ』の大部分は2010年ヴィンテージより生産され始め、2014年のリリース時期ではたったの30銘柄ほどだった様です。
現在では実に182銘柄が、グラン・セレツィオーネとして市場に出回っていることを考えると、リカソリのワインが今、100点を獲得した意味は非常に大きく、さらにこのエリアのワインを盛り上げてくれるのではないでしょうか?

僕のようなイタリアワインへの愛が深く、元々サンジョヴェーゼの可能性を信じていた者にとっても、大変嬉しいニュースでした。
今から20数年前までは、サンジョヴェーゼ種100%でキアンティ・クラッシコは造れませんでした。
その為、DOCの規定から外れた、トスカーナ・IGTなどのカテゴリーで100%サンジョヴェーゼを表現する生産者が何人かいました。
彼らの努力の結果、世界的に高い評価を受けたサンジョヴェーゼがこうして2022年の現在100点という評価になって帰ってきたと思います。
この嬉しいニュースに僕は感動しています。

CHIANTI CLASSICO GRAN SELEZIONE RICASOLI

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